このロケほど記憶に残るロケはなかった。ファッション・コレクションはよく年の春夏物を前の秋に撮影するので撮影は冬にする。水着のシャシを海岸で撮るわけにいかないので海外ロケになる。グアムでもサイパンでもいいのに今回はタヒチという事になった。ファッション・エディーターは松本 智恵子 (Matsumoto Chieko)さん ヘアメークはモッズヘアーの田村さん。モデルを二人日本から連れて行った。 赤道直下での日中は太陽が真上に来て逆光が使えない。順光でも鼻の下に影ができてしまうので日の出と日の入りの短い時間しか撮影できない。夜中の2時位からヘアーメークとその日に撮る服のコーディネイトを始める。スタートは朝四時頃、日の出前にモデルを立たせてカメラのセットをする。緯度の高い場所では太陽が真上に来るまで時間がかかるが赤道直下では2時間くらいで太陽が上がってしまう。日の入りも一緒で日が傾いたなと思ったらあっという間に日が落ちてしまう。というわけで、毎日、朝の2時間と夕方の2時間しか撮影できないというより撮影しない。撮影が順調に進んで最終日に松本さんが台割り(印刷用のページレイアウト)を見て「2ページ足りない!」と言い出した。ページ数と服の数が合わないのだ。そこは超ベテランの田村さんが「ビューティーペー作ればいいじゃない」言った。海外ロケはこのようなアクシデントに対応できるよにベタランティーム組む。それが功をなしたのだ。さっそくアップのメークをして、隣アクセントページは彼女のパジャマを使ってアシスタント時代にニースのビーチの砂をミネラルウォターで洗う真を見たことがあるのでそれを使った。
 最終日、どうしても撮れなかった三宅一生さんの服をモデルを桟橋に立たせて風が来るのを待って撮った。この写真をイッセイさんが見てイッセイさんから仕事を貰う事ができた。KENZOもジャンポール・ゴルチエもファションデザイナーはーにとって大切なのは自分の作品がどれだけ理解され綺麗に写っているかが重要なのだ。
 モデル以外のエキストラはホテルの従業員、撮影は宿泊先のプライベートビーチを使っていた。そこのお客さんに協力していた。翌日の撮影のロケハンをしていたら投句から白人歩いて来た。その顔からオーラがさしていて翌日の撮影にエキストラにお願いしようとしようと思った時北方向に戻ってしまった。これはいいエキストラを逃したと思った。翌日、ホテルのフロントの地元新聞の一面に「ハリソン・フォード来たる」の文字、そうだ!ハリソン・フォードだったんだ!翌年、彼が製作する「モスキート・コースト」のロケハンに来ていたのだ。そういえばその時、ビーチにヘリが止まっていた。考えてみればホテルの従業員がヘリ使って作業するわけがない。帰ってからこの話をしたら製作される「バカ、バカ、バカ、!!なんでハリソン様って分からなかったよ!!!」とえらく怒られた。彼女は熱狂的なハリソン・フォードのファンだった。本当にハリソン・フォードは普通のおっさんで僕もスターウォズの時から彼の映画を見ているが気がつなかった。ロスでのロケの時空港でクリント・イースト見た時はかなり遠くから見て彼だとわかったのですが、、、。WWD タヒチ・ロケ

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